雑誌
『月刊雑誌』2017年9月号
Vol.63 No10 通巻922号
看護技術2017年9月号
末期心不全の緩和ケア 患者・家族を最期まで支えるために必要な知識と技術
編集協力/籏持千恵子(大阪府立大学大学院看護学研究科 教授)
植込型補助人工心臓装着患者の在宅療養支援
編集協力/山中源治(東京女子医科大学病院 急性・重症患者看護専門看護師)
B5判/96頁/定価1,320円(本体1,200円+税10%)
401090
- ●説明
第1特集
末期心不全の緩和ケア
患者・家族を最期まで支えるために必要な知識と技術
編集協力/籏持知恵子(大阪府立大学大学院看護学研究科 教授)
心疾患はわが国における死因の第2位であり,その最たる原因は心不全であるが,高齢化に伴い慢性心不全患者の数はますます増加している.心不全は増悪と緩解を繰り返す経過をたどること,また突然死の可能性がある一方で,心臓移植や補助循環装置による治療によって劇的な回復を遂げる可能性があることから,がんに比べて予後予測や終末期の見極めが困難であるという特徴があるが,患者や家族はそれらの経過に翻弄され,身体的にも精神的にも苦痛を抱えたまま最期を迎えることもある.医療者は患者や家族が病気を抱えながらも自分らしく生活できるよう,また望ましい最期を迎えられるよう適切な治療・支援を行うことが求められている.
そこで本特集では,末期心不全患者の緩和ケアの実践として,適切な治療を提供するうえで知っておくべき心不全の病態や経過,治療を概説するとともに,心不全に伴う身体的・精神的苦痛へのマネジメントや,治療方法の選択などの意思決定支援,多職種連携について解説する.
Part1 心不全の緩和ケアの特徴と看護師の役割/籏持知恵子
Part2 心不全の病態と治療/民田浩一
Part3 心不全患者の全人的苦痛へのケア
@ 身体的苦痛へのケア
1.倦怠感/佐藤千賀
2.呼吸困難感/佐藤千賀
3.心不全悪液質に伴う症状/田中奈緒子
A 精神的苦痛へのケア/成井花奈恵
B スピリチュアルな痛みへのケア/森田亜紀
Part4 心不全患者の意思決定支援/戸沢智也
Part5 多職種連携,地域連携/武田真弓
Part6 終末期における心不全患者へのケアと看取り/仲村直子
Part7 心不全患者の家族ケア
@ 末期状態・終末期にある心不全患者の家族に対する支援/田中奈緒子
A 家族へのグリーフケア/森田亜紀
第2特集
植込型補助人工心臓装着患者の在宅療養支援
編集協力/山中源治(東京女子医科大学病院 急性・重症患者看護専門看護師)
内科的治療が限界となった末期重症心不全患者にとって残された治療は心臓移植である.しかし,日本の心ドナー数は他の先進国に比べ少なく,心臓移植待機期間は1,000日を越える.そのため,心臓移植待機患者の多くは,補助人工心臓(ventricular assist device;VAD)を装着し心臓移植へ望みをつないでいるのが現状である.また近年では,心臓移植適応外の患者に対し,最終治療としてVADを選択する長期在宅治療(destination therapy;DT)も検討されており,現在治験が行われている.
日本では2011年に在宅療養が可能な植込型VADが使用できるようになり,患者と家族への教育や退院支援が重要視されている.今後ますます在宅療養する植込型VAD装着患者が増えることが考えられる.植込型VAD装着患者の退院支援や在宅療養支援には,チーム医療は欠かすことができない.VADチームのなかで看護師は,患者と家族が生活変化に順応できるようサポートしケアする役割を担う.
本特集では,植込型VAD装着患者がその人らしい生活を取り戻すための退院支援や在宅療養後のケアについて解説する.さらに,終末期の課題まで掘り下げ,死と向き合う患者・家族に対するケアについても考えたい.
Part1 植込型VAD装着患者の退院に向けた支援/山中源治
Part2 植込型VAD装着患者の在宅療養支援の実際
@ VAD装着患者の訪問看護の実際/伊東紀揮
A VAD外来での看護ケア/山中源治
Part3 植込型VAD治療におけるエンドオブライフケア/遠藤美代子,加賀美幸江
Part4 大阪大学医学部附属病院における植込型LVAD治療の緩和ケア/松浦良平・他
連 載
◆PICSの予防と対策
ICUでの栄養管理/鈴木達郎
◆がん患者の症状マネジメント
排便異常(下痢・便秘)/根岸 恵
◆エンドオブライフケア:実践知が導くケア技術
ALS患者のエンドオブライフケア/高橋奈美
◆Q&A
血液ガス編/矢田理絵
人工呼吸器グラフィックモニタ編/奥田晃久
人工呼吸器アラーム対応編/石井宣大
お知らせ・ご案内
- ●その他
- 10月号は2017年9月20日発売!
第1特集
救急・クリティカルケア領域における家族ケア
編集協力/ 山勢博彰(山口大学大学院医学系研究科 教授)
救急医療,クリティカルケアの場において医療者は生命の危機に瀕する患者への対応に注力するため,家族への対応に十分な時間を割くことが難しいことも多い.しかし,クリティカルな状態にある患者の家族も重大・急激な状況の変化による激しい動揺や強い不安,死別への恐怖,悲嘆から危機状態に陥ることが多く,さらに,意識のない患者に代わって治療選択などに関する意思決定を求められるなど,家族への負担は非常に大きい.
本特集では,救急・クリティカルケア領域における家族のとらえ方や家族ケアの考え方,時期や場に応じたケアのポイントを解説し,事例をとおしてケアの実際について紹介する.
Part1 救急・クリティカルケア領域における家族の特徴と家族ケア
Part2 救急・クリティカルケア領域における家族ケアの基本
Part3 事例にみる家族ケアの実際
第2特集
虐待を疑う患者への対応
編集協力/ 山田典子(日本赤十字秋田看護大学 教授)
昨今では,児童虐待や高齢者虐待,配偶者からの暴力など,虐待,ドメスティックバイオレンス(DV)が社会問題となっている.看護師においても,救急外来や小児病棟などで虐待を受けている人に出会うことは少なくなく,患者の身体的・心理的苦痛への対応を求められるとともに,適切な機関への通告も義務付けられている.このことから,虐待を受けている患者の発見・対応の知識をもっておくことは,看護師にとっても非常に重要である.
本特集では,外来や病棟で虐待を疑う患者と出会った場合に看護師に求められる対応を紹介する.
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療養者・家族・医療者の安全をどう確保するか――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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