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雑誌

看護技術2013年6月号

『月刊雑誌』2013年6月号
Vol.59 No7 通巻863号

看護技術2013年6月号

“失敗例”から考える日常ケアの落とし穴
編集協力/高橋有里(岩手県立大学看護学部・准教授)
B5判/104頁/定価1,320円(本体1,200円+税10%)
401060


●説明
 特 集


“失敗例”から考える日常ケアの落とし穴

編集協力/高橋有里(岩手県立大学看護学部・准教授)

 新人や経験の少ない看護師の皆さんは,不安を覚えつつ必死に任務を遂行していらっしゃることと思います.そして,強い緊張のなか多くの業務に追われ,「ヒヤリハット」する場面に遭遇することがあるのではないでしょうか.
 ヒヤリハットは,ときに重大な医療事故につながります.ハインリッヒの法則によると,1つの重大な事故の裏には 29 の軽微な事故があり,さらにその裏には 300 のヒヤリハットがあるといわれています. 重大な事故を防ぐためには,軽微な事故を防ぐこと,そのためにヒヤリハットの事案にていねいに対処していく必要があります.
 ヒヤリハットを起こさないためには,どのようなことに注意したらよいのでしょうか.学生時代を思い出してください.教員や指導者から「なぜ?」と質問攻めにされた経験はありませんか? 苦い経験として記憶されているかもしれませんが,ヒヤリハットを防ぐには「なぜそのような症状が現れているのか」「なぜその援助⽅法が適切なのか」と考えることこそが大事なのです.目の前の事象に対して常に「なぜ?」という疑問をもって臨む姿勢が,思い込みを防ぎ,再確認や報告・相談につながり,結果的にヒヤリハットや重大事故を防ぐことになるでしょう.そして,「なぜ?」と考えるときの基盤となるのが,からだの構造やからだの中で起こっている反応への理解や,使用している機器の特性への理解ではないでしょうか.
 医療事故の要因としては,確認・観察不足などの個人の行動要因が最も多く,次いで知識不足・未熟な技術などの人的要因,そして施設設備・医療物品などの環境要因,教育・訓練やしくみなどの要因があげられています.特に,複数の仕事を同時に行ったり(多重課題)仕事の中断や割り込みが多い状況で,事故発⽣のリスクが高いようですが,看護においては,多重課題や中断・割り込みはあり得るものとして,それらに対応していく力が求められることも事実です.
一方,人間である以上,エラーはゼロにできるものではありません.したがって,常に正しい決定や行為ができるわけではないことを前提に,エラーについて考えていくことが必要ではないでしょうか.
 本特集では日常的な場面での失敗例について,原因,理由,対策とその根拠をまとめました.ぜひ,失敗例をとおして,その状況について根拠をもとに振り返り,今後のエラーの予防や対策につなげていってください.

失敗例1〜5 点滴/三浦奈都子

失敗例6〜9 採血・注射/高橋有里,原 好恵

失敗例10〜12 吸引/平野昭彦

失敗例13〜15 食事/及川正広

失敗例16〜18 浣腸/武田利明

 Front Line

終末期の口腔ケア up date
  終末期の口腔ケアの最新知見/渡邊 裕
  がん終末期の口腔ケアの実践/大野友久

 連 載

院内トラブルを防ぐ 看護師のための対人対応力講座
  部署間のコミュニケーション上で注意すべき点/小山美智子

清水哲郎による 臨床倫理のススメ
  意思決定プロセスC 本人の意思確認ができないとき/清水哲郎

気になる疑問をスッキリ解決! Dr.今津の漢方薬入門
  西洋医学の診察に漢方医学を加えて,診断をスムーズにしよう/今津嘉宏

急変・急患の病態把握に生かす 看護師のための臨床推論覚書
  咽頭痛その2:隠れたファイブ・キラー・ソア・スローツを探し出せ!/徳田安春

日々の看護に生かすQ&Aシリーズ
  KYT/黒川美知代
  心電図/茂木美里
  人工呼吸器/野口裕幸
  感染管理/塚田真弓
●その他
7月号は2013年6月20日発売!


特集


ケアの基本,有害事象の予防,生活の工夫など外来がん化学療法Q&A

 編集協力/大畑美里(聖路加国際病院通院治療センター,がん看護専門看護師)

  外来がん化学療法に焦点を当て,外来でのがん看護の専門性を高めるハウツーをQ&Aでお届けします.治療・療養について説明する際のポイントや上手な伝え方,患者さんからの回答しづらい質問や相談,有害事象に対する生活上の工夫など,難渋するケースや意外と知らない事柄を取り上げ,がん看護のスペシャリストから実践に即した回答をお示しいただきます.
Part.1 看護師が治療開始前におさえておきたいポイント
 ・漢方薬を服用している患者さんには,どのようなことに気をつけてもらえばよいでしょうか?
 ・B型・C型肝炎の既往がある患者さんでは,何に気をつければよいでしょうか?
 ・リツキサンはなぜ投与時間が決められているのでしょうか?
 ・抗がん剤投与時にみられるフレア反応と静脈炎の違いは何でしょうか?
 ・カルテに記載されている“外来化学療法加算”“無菌調剤加算”とは何でしょうか? ほか
Part.2 安全かつ安心して治療が継続できるためのポイント
 ・吐き気が強い時期の生活の工夫にはどのようなことがあるでしょうか?
 ・夜眠れない患者さんにはどのように対応すればよいでしょうか?
 ・「治療が高額で支払いに困っている」との相談に,どのように対応すればよいでしょうか?
 ・職場の同僚の気遣いが気になると相談された場合,どのように答えればよいでしょうか?
 ・家族に病気のことを伝える良い方法はありますか? ほか


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特集 認知症・せん妄・うつ病患者へのケア
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3疾患の違いがわかる!!
●せん妄と認知症を鑑別するポイントはなに?
●ケアに繋がるアセスメントをどう進めるの?
●泣き続ける,興奮している,ケアを拒否する患者にどう対応する?


序 章
  一般病棟における精神的ケアの現状

第1章
  認知症・せん妄・うつ病の違いを知ろう
  ■認知症・せん妄・うつ病の違い
  ■病態の違い
  ■症状の違い
  ■非薬物療法の違い
  ■治療薬の違い

第2章
  「ちょっと変だな……」と思ったときの
  アセスメントとスクリーニングの進め方
  ■アセスメントの進め方
  ■アセスメント時に利用できるスクリーニングツール
  ■コンサルテーションの必要性と判断

第3章
  困難事例から考える
  アセスメントと患者対応
  Case 1 ずっと泣いている患者
  Case 2 興奮している患者
  Case 3 ケアを拒否する患者
  Case 4 元気のない患者
  Case 5 眠らない患者
  Case 6 『死にたい』と言い続ける患者
  Case 7 言い繕いの多い患者
  Case 8 ナースコールを押し続ける患者
  Case 9 『自宅へ帰る』と言ってきかない患者
  Case 10 性的逸脱行動のある患者
  Case 11 精神科への受診を拒否する患者

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2012年10月増刊号 好評発売中!!

特集 フットケア・創傷治療 Q&A
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●お詫びと訂正●

本誌前月号に以下の誤りがありました.ご愛読の皆様にお詫びし訂正いたします.     (本誌編集室)

p.7 「表1 吸引前のアセスメント」の下
(誤)戎 初代:根拠・エビデンスから理解できる! 看護技術の疑問解決Q&A30,
   ナーシング,30(4):47,2010.より引用改変
(正)戎 初代:根拠・エビデンスから理解できる! 看護技術の疑問解決Q&A30,
   ナーシング,30(4):47,2010.を参考に作成


p.50 「表1 E.H.Spaulding分類と機材の処理方法」
(誤)材 → (正)
(誤)粘膜に直接接触 → (正)粘膜に接触
(誤)粘膜にしない,創傷のない皮膚と接触する
(正)粘膜に接触しない,創傷のない無傷の皮膚と接触する