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第45回日本看護学会―慢性期看護―学術集会



基調講演「共に在り 共に変わる〜慢性看護の新たな展開に向けて〜」    第45回日本看護学会−慢性期看護−学術集会が9月11‐12日、森山節子学術集会長(徳島県看護協会会長)のもと、徳島市のアスティとくしまで開催された(参加者数:11日1862人,12日2051人)。
 メインテーマを「今こそ、看護のチカラ〜人が人生をよりよく生きるために〜」とした本学術集会では、意思決定、終末期ケア、緩和ケアなど、慢性期にある患者・家族に対する看護師のかかわり方や支援に関しての演題が多く発表された。大会長の森山氏は開会式の会長挨拶で、「今年から新たな枠組みとなった日本看護学会のなかで、特に本学会では、患者の生活の視点を大切にした継続看護など看護の展開をしっかりと学び合える会としたい」との意気込みを語った。
 ここでは、口演「看取り・終末期ケア」「患者理解」からその一部を紹介する。

◆患者・家族の理解をより深めるために

 2日間にわたって行われた様々な口演のなかでも、特に終末期患者のケアに関する内容が多く見られた。初日に行われた口演「看取り・終末期ケア」(座長:近藤佐地子 徳島大学病院)では、「重症心身障害児(者)施設における看取りに対する看護師の意識―アンケート調査により現状と課題を明らかにする―」との演題で荒谷智子氏(東京都立府中療育センター教授)が施設の看護師などの看護職員たちに意識調査を行い、看護師及び看護職員たちの実に約半数以上が重症児(者)の看取り経験がないことが明らかになったことついて語った。研究対象の施設では、看護師の看取りの経験の少なさや知識不足により、看取りを困難に感じる傾向にあると述べた。重症児(者)は言語的コミュニケーションの困難から訴えを読み取ることが難しく、意思決定も困難であることなどの患者・家族とのコミュニケーションの難しさも影響しているとした。
 この調査を振り返り荒谷氏は、高齢化に伴い患者を看取る機会が増えている現在看護師の看取りに対する意識が重要と考え、特に看護師の病棟異動が比較的に多いとされる都心の施設で看取りの教育の機会を設ける必要性を訴えた。

 2日目の口演「患者理解」(座長:田村綾子 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)では多くの若手看護師や看護学生の参加があった。「心不全で再入院した患者の思い」では、石原久美子氏(名古屋掖済会病院)が看護師と患者の会話から分析した研究から得た看護師の患者へ対する理解の姿勢について述べた。心不全の増悪を予防するために制限された生活を送る患者は、日々の様々な制約にストレスを感じており、その必要性を理解していても実際に行動に移すことができないことに対するジレンマを看護師に理解してもらいたいという欲求がある。しかし、看護師は心不全で再入院した患者に対して必要な知識を一方的に指導してしまう傾向にあると語った。特に、キャリアのある看護者にこの患者理解よりも指導に偏ってしまうパターンが多くみられるという。心不全によって生活の変容が余儀なくされた患者に対し、看護者は患者の気持ちの理解と再発の不安の軽減に努め、患者と共に生活の変容とQOLの保持について考えることが重要であると述べた。ただ指導するだけではなく、患者との信頼関係の構築に焦点を当てることについて、会場の参加者にも賛同する様子が垣間見えた。

 次回は,2015年9月2‐3日に福島市のビッグパレットふくしまでの開催が予定されている。
(編集部雑誌課・木村)