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第45回日本看護学会―在宅看護―学術集会開催



シンポジウム「チームでとりくむ在宅ケア〜その人らしく過ごすために〜」    第45回日本看護学会‐在宅看護‐学術集会が、10/2-3に川村良子学術集会会長(山形県看護協会会長)のもと、山形県山形市の山形テルサで開催された。本学術集会は“つなげよう ひろげよう 在宅看護”をテーマとし、「地域完結型」医療への実現が目指されるなかでますます重要視されつつある在宅看護について、口演63題、示説73題の計136題の発表がなされた。

 基調講演では、嘉山孝正氏(国立がん研究センター名誉総長、山形大学学長特別補佐)が「在宅医療の未来」をテーマに講演を行った。嘉山氏は、在宅医療のニーズは年々高まっているにもかかわらず、その普及が進まない要因として、在宅医療に携わるスタッフや施設の不足、また利用者側に在宅緩和ケアへの抵抗感があること、などをあげた。在宅医療は、利用者の個人宅という特殊環境下で、急変時や看取り時も含めた24時間での対応が必要である。今後の在宅医療では、そういった幅広いニーズに対応できる知識、技術、倫理観を兼ね備えたスタッフの育成と、これを支える地域型ネットワークとコーディネート拠点の構築が必要であると述べた。

 シンポジウム「チームでとりくむ在宅ケア〜その人らしく過ごすために〜」では、訪問看護に携わる医師、看護師のほか、認知症高齢者支援団体の代表、訪問看護利用者の家族がそれぞれの立場から在宅医療について発言と意見交換を行った。
 岡田陽子氏(済生会山形訪問看護ステーション管理者)は、長年の訪問看護の経験から病院と家での患者の“表情の違い”に触れ、病院と訪問看護の連携、チームケアの体制を整え、利用者が“生ききる”支援をしていきたいと述べた。照井クニ氏(山形県白鷹町認知症見守りネットワーク協議会会長)は、協議会が取り組む、地域への見守り・支え合いステッカーの配布や認知症高齢者に対する対応のマニュアル作り、認知症への理解を深める学習講座などの活動について紹介。地域の目があることで認知症高齢者の安全だけでなく、家族のサポートにもつながると、活動の成果を発表した。
 また意見交換では、医師の立場から八鍬直医師(八鍬医院院長)が院内業務で忙しく、訪問看護にあまり時間を割けない現状を報告する一方、利用者家族である中嶋恭子氏は、打ち合わせなどの際にはできるだけケアに直接かかわる人物が出席して、療養者や家族の声に耳を傾けてほしいと発言した。意見交換の後、より良いチームケアの実現のためには、医療者は現場にも足を運び療養者の立場に立ってケアを考えること、周囲の人間は正しい知識をもつことが大切、という意見でまとまった。

 特別講演Uでは、齋藤訓子氏(日本看護協会常任理事)が「診療報酬・介護報酬改定にみる訪問看護の役割」をテーマに講演し、訪問看護の中核を担う訪問看護ステーションの現状と課題について述べた。齋藤氏は各ステーションの規模の小ささが業務の非効率やスタッフの負担増大を招いていると指摘。規模拡大を図るとともに、多様なニーズへの対応や、訪問看護と小規模多機能型居宅介護を一体的に提供する新サービスの提案等の必要性を説いた。また日本看護協会として、在宅看護の人材不足解消のため、新卒者や潜在職員向けの教育カリキュラムの開発や、病院看護師が訪問看護にチャレンジできる研究事業を検討中であるとも発言した。在宅看護に対する協会の力の入れ方が伝わってくる内容であった。

 次回は来年10月2‐3日に名古屋国際会議場(愛知県・名古屋市)での開催が予定されている。

(編集部雑誌課・山口)