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第45回日本看護学会−精神看護−学術集会



交流集会「精神看護CNSの活動報告」    第45回日本看護学会の精神看護分野の学術集会(会長=三輪百合子公益社団法人長野県看護協会会長)2014(平成26)年10月16日(木)〜17日(金)にかけて長野県松本市のキッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)と松本市総合体育館にて,「変化する精神看護〜未来へのアウトリーチ〜」をテーマに開催された(1日目:参加人数は1167名)。今回はこのテーマのもとで,特に臨床心理士,看護師,保健師などの多職種で構成されたチームによる,認知症や統合失調症,うつ病などの患者やその家族に対するかかわり方や,地域の訪問看護ステーションや精神科病院,保健所などの関連機関とのこれからの関係性についてなど,これからさらに重要になっていく,「地域で生活する精神障がい者の支援」をも念頭に置いた多職種チームによるケアについて取り上げた。
 1日目は,作家の中谷彰宏氏による「大人の友達を作ろう〜人生が劇的に変わる人脈術〜」が開催されたほか,認知症,薬物療法などの講演発表や,東日本大震災復興支援事業における「被災地は今」をテーマにパネル展示や発表などが行われた。
 2日目では,萓間真美氏(聖路加国際大学精神看護学教授)による「精神障がい者の地域生活を支えるアウトリーチケア〜多職種チームと看護の役割〜」の基調講演や,天野直仁氏(信州大学学長補佐,同医学部精神医学教室教授)による「老年期について思うこと〜老年期の心理,そして認知症に言及して〜」の教育講演が行われた。
 ここでは,1日目に行われた,キャリアナース(既卒・中途採用看護師)の教育活動と離職対策を試みた交流集会「精神看護専門看護師(CNS)の活動報告」と,今年から精神看護の領域が「小児から高齢者の精神保健および看護に関する研究」となり再編成されたことで,学会プログラムに組み込まれ関心を集めた,「周産期におけるメンタルヘルス」に関するシンポジウムの模様を紹介する。


◆交流集会「精神看護CNSの活動報告」

 全国では,177名の精神看護CNSが活躍しており,そのうち,現在長野県内では3名が働いている。この交流集会では、活動事例をもとに、精神看護CNSの存在意義について意見交換を行った。発表者の1人である赤沢雪路氏(現在は社会医療法人財団慈泉会相沢病院,精神看護CNS)は,以前勤務していた横浜市立みなと赤十字病院で,セルフマネージメントグループを創設した。セルフマネージメントグループとは,既卒・中途採用看護師のための支援グループのことで,入職後1年間支援を行うものである。これに参加した看護師からは,ふだんの病棟勤務中では言い出せないことや,精神面での悩みが相談できる場であるとの意見がきかれ,看護師どうしのつながりの場になっていると述べた。この活動を5年間続け,離職する看護師が減り,既卒・中途採用看護師への教育体制も整えることができたと述べた。

     このシンポジウムでは、精神疾患を発症した妊産婦のケアについて、各演者の実践報告をもとに討論を行った。精神疾患をもつ妊婦には妊娠前から発症している例から,妊娠・出産を契機とした発症例まで様々であるが,いずれにしても妊産婦という特殊な状況にあり,これを踏まえた対応が必要である。シンポジストの一人、村松さとみ氏(助産師)からは飯田市立病院での実践について報告があった。それによれば同院では,最初の妊婦検診時に助産師による面談を行い,支援が必要な症状をもつ患者には受け持ちの助産師を決め,その助産師が妊娠期から産褥期まで担当し,担当患者が出産した後は,地域保健師への情報提供を行っている。しかし,妊婦により問題は異なるため,従来のしくみのもとでは,地域行政機関との連携は難しく,一昨年から助産師や看護師,保健師,医事課(医療事務員)も交えての合同カンファレンスによる情報共有を開始した。精神疾患合併症の妊産婦は他者の介入を拒み,十分な育児支援を受けずに育児困難・育児放棄となる事例もあり,通院時に問題がなくとも自殺未遂やうつになる場合もあるため,妊娠初期からの介入や妊産婦からのサインを見逃さないことが大切であると述べ,精神疾患合併妊産褥婦の実態と妊娠初期〜産褥期の継続した助産師のかかわり方や地域との連携の必要性について述べた。
 次回は2015(平成27)年9月18(金)〜19(土)日に大阪府大阪市の大阪国際会議場にて開催される予定。
(編集部雑誌課・遠藤)