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第46回日本看護学会―看護教育―学術集会




「特定行為に係る看護師の研修制度」についての概要を説明する洪氏
   第46回日本看護学会―看護教育―学術集会が、8月6-7日に奈良県奈良市の奈良文化会館にて、寺川佐知子学術集会会長(前奈良県看護協会会長)のもと「看護の実践力をより高く 〜育つ・育てる・極める〜」をテーマに開催された。
 初日1,555人、2日目1,403人を集めた当学術集会では、新人看護師の育成、実習における学生および臨床とのかかわり、中堅看護師のキャリア支援に関する演題が目立った。
 ここでは、特別講演およびシンポジウムのもようを紹介する。


◆地域へとシフトする医療に対応できる看護教育を

 特別講演Tで「のびよ! 看護職! 支えるのは教育の力」をテーマに語った坂本すが氏(日本看護協会会長)は、病院中心の医療が徐々に地域や在宅にシフトしていくという転換期を迎える今日の私たちの社会にとって、地域包括ケアシステムの構築が最重要課題であり、看護職はそのなかでチーム医療のキーパーソンとして患者の生活と医療をつなぎ、患者をだれよりも支えていく必要があると述べた。
 氏はその実現のために求められる能力として、@自ら考える力、A伝える力、B創造する力をあげ、具体的には課題解決力や体験を知にしていく力、マネジメント力などを育成していくべきであるとした。また、「看護師はすばらしい」という看護師の魅力を学生やスタッフに伝え、この仕事に誇りをもってがんばっていただきたいと述べた。
 シンポジウムUでは、「特定行為に係る看護師の教育・研修制度を考える―さらなる役割拡大に向けて―」をテーマに、洪愛子氏(日本看護協会常任理事)が座長を務め、10月から施行される「特定行為に係る看護師の研修制度」についての概要を説明した。シンポジストは、教員、実践者(看護師)、施設管理者(医師)、看護管理者の4名で、それぞれの立場からこの制度についての提言をした。
 実践者である廣瀬福美氏(介護老人保健施設 鶴見の太陽 副施設長兼特定看護師)は、介護施設で働く全国でただ一人の特定看護師(施設内での名称)。この施設では夜間は入所者100名に対し看護師1名で対応しなければならず、入所者の異常時の対応に不安を抱いたこと、および入所者の生活を守るために、疾患や内服薬、検査データについて学ぶ必要性を感じ、大分県立看護科学大学大学院のNPコースに進学。卒後は、入所者の健康管理や異常時の対応、看取りケアなどを指導医である施設長と共に実践している。今後も地域の医療に貢献できるよう努めていくと抱負を述べた。
 この研修制度について、院内での共通理解と医療安全管理体制の構築が重要と提言したのは高橋弘枝氏(独立行政法人地域医療機能推進機構[JCHO]本部)。以前、看護部長を務めていたJCHO大阪病院では、看護管理者として特定行為に係る看護師(施設内では実施看護師)への支援と関係調整に尽力した。当初より、院長や指導医、多職種の理解と協力により業務実施体制が整えられたこと、さらに実施看護師の業務遂行がていねいで信頼の得られるものであったことから、この制度についての院内での共通意識が生まれていると感じている。また、医療安全体制の整備についても、改めて見直す良い機会となったと述べた。

 次回の第47回日本看護学会―看護教育―学術集会は、2016(平成28)年8月4-5日に滋賀県大津市の大津プリンスホテルにて開催される予定。

(編集部雑誌課・中村)