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第46回日本看護学会―看護管理―学術集会




数多くの参加者と演題で、学術集会は大盛況のうちに幕を閉じた
   2015年9月8日〜9日の2日間にわたり、福岡県博多市にある福岡国際会議場および福岡サンパレスにて『第46回日本看護学会―看護管理―学術集会(花岡夏子学術集会会長)』が開催され、1日目4,122名、2日目3,669名、延べ7791名の参加者が集まった。
 全国各地から集まった看護管理者の熱気に包まれた各会場では“未来を創る〜わくわくする看護マネジメント”という大会テーマのもと、“日本の未来をより良くするために、看護管理者が果たさなければいけないことは何なのか”という大きな課題に正面から向き合ったものから、明日から実践できる身近な題材まで、硬軟幅広い多くの演題が発表された。
 今回は1日目に発表された“交流集会T 看護師のセカンドキャリアの活用”について報告する。


◆“役職定年制度”が、セカンドキャリアを考えるきっかけに

 交流集会Tでは、勝原裕美子氏(聖隷浜松病院・副院長兼総看護部長)、柏木とき江氏(公益社団法人認知症の人と家族の会・茨城県支部副代表)、岩下由美子氏(公益社団法人大阪府看護協会・労働環境支援事業部ナースセンター事業所長代理)の3名が“看護職のセカンドキャリア”について座談会を行った。
 勝原氏からは、自身が勤務する聖隷福祉事業団が採用する“役職定年制度”についての紹介があった。この役職定年制度とは、課長や次長という役職者のだれもが、10年以上その役職に就いたのち、一定の年齢に達した時点で次世代の育成のために任を解かれるという制度だ。役職を解かれた看護師は、その後、スタッフナースとして院内でセカンドキャリアをスタートさせる人もいれば、早期定年制度を活用して院外にセカンドキャリアを求める人もいたりと様々だという。
 「どの施設でも役職には定数があり、だれもが役職者であり続けることはできない。“役職定年制度”があれば、役職者は自身の任期満了を見据えて、早期から本当に自分がやりたいことを考えることができ、同時に役職者から立ち位置が変わるのだという覚悟を徐々に持つことも可能になる」という勝原氏の言葉に、大きく頷く参加者が数多く見受けらたことが特に印象的であった。

◆定年後、セカンドキャリアを歩んで見えてきたもの

 柏木氏、岩下氏の両氏は、看護部長を務めたのち、定年後は多施設でセカンドキャリアを歩んでいるという経歴の持ち主だ。
 柏木氏は2009年に病院を退職後、1年間は訪問看護ステーションの設立と運営に力を注ぎ、その後は看護部長時代から携わっていた“認知症の人と家族の会・茨城県支部”の副代表として、これまで培ってきたキャリアを活かし、認知症患者に関わる地域住民から地域の医師、看護師まで様々な人たちへの無料相談や、認知症患者へのケアを行っている。「元々、世話好きなので、今の仕事は本当に楽しい」と語る柏木氏だが、定年前から“自分が定年後も自分らしく輝き続けながら生きていくためには何が必要なのか”と絶えず模索してきたという。そこで柏木氏は、“自分の強みが何かを考える”、“自分のこれまでの行動を振り返り、なぜその行動にいたったのか理由を考える”、“自分はだれとつながっていて、その関係をどのように活かしたいのか考える”という3つの考えから自分を自己分析を重ね、“世話好きな性格を活かし、認知症患者と地域の人たちを支援する”、というセカンドキャリアを自らの手で切り開いてきた。
 現在、柏木氏は大学と看護職のセカンドキャリアについて共同研究を始めたという。柏木氏自身、年を追うごとに旺盛となる自身の好奇心に驚いているそうだ。

 もう一方の岩下氏は、病院を2010年に定年後、大阪府看護協会に再就職し、現在はナースセンター事業所長代理として看護職のセカンドキャリア支援を行っている。2014年度、大阪府のナースセンターの50歳代、60歳代の新規求職者は700名弱であり、そのうちの3割強が再就職をすることができた。しかし、一般的に施設はセカンドキャリアの採用にはまだまだ消極的であり、これはナースセンターとしても大きな課題の1つだという。
 岩下氏によるとセカンドキャリアと施設とのミスマッチには様々な理由があるそうだが、特に多いのは求職者側が求める給与などの待遇面での希望が高く、施設側が条件を受け入れられないことにあるそうだ。特にその傾向は管理者を経験した求職者になるほど高くなるという。そこで大阪府のナースセンターでは、“ゴールドナース”という有償ボランティアへの登録を求職者に積極的に行っている。求職者の豊かな経験を様々な分野で発揮してもらいたいというねらいがある一方で、まずは、それまで働いていた施設以外で働いてみることで視野を広げてもらい、様々な施設の現状を知ることで求職者と施設間の考えの相違を見つめ直すきっかけ作りとしたいという思惑もあるそうだ。

 2025年に向けて、看護職は今後10年弱で50万人も増員していくためには、働きたいという意欲を持つ看護職の全員が働き続けていける環境作りが必要ではないだろうか。看護職のセカンドキャリアを充実させることが、看護職200万人を達成するためには避けられない。

 次回の第47回 日本看護学会・看護管理学術集会は2016(平成28)年9月27〜28日 石川県金沢市(県立音楽堂・ホテル日航金沢・金沢市アートホール)にて開催される予定。

(編集部雑誌課・齋藤)