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第49回 日本看護学会−精神看護−学術集会




聴講者からの質問に答えるシンポジスト
   2018(平成30)年7月19〜20日、徳島県/あわぎんホールにて第49回日本看護学会−精神看護−学術集会が開催された(学術集会会長:多田敏子徳島県看護協会会長)。メインテーマは「時代・地域・心の壁を乗り越える精神看護」。地域包括ケア時代を迎えた今、精神疾患を抱えた患者も地域で支えていく必要があるという志のもと、それを叶える様々な方法について、講演やシンポジウム、口演・示説発表などが行われた。

シンポジウムT「精神看護に対する心の壁を乗り越える」

 看護師・看護学生やその周囲の人々が潜在的にもっている、精神看護に対する「心の壁」。このシンポジウムでは、3名のシンポジストがそれぞれの経験や取り組みに基づき、精神看護に対する心の壁とそれをなくす方法について発表した。この「心の壁」により、精神科病院では「新卒看護師の入職率が低いこと」や「看護師の成果を評価しにくいこと」、精神看護の領域以外では「精神疾患をもつ患者のケアの際、看護師が患者の言動に困惑してしまうこと」などが問題となっている。
 シンポジストの1人である千葉進一氏(徳島大学大学院医歯薬学研究部メンタルヘルス支援学分野・准教授)は、「今後、看護師のクリニカルラダーと同様、精神看護師のクリニカルラダーを明確化・発信し、それに基づいた教育が必要である」と、精神看護師が自分たちが行っている看護について、積極的に発信していく必要性を語った。また、「精神看護では看護技術が身につかない」と敬遠されることについては、「看護技術についての認識を改める必要がある。看護技術に含まれるのは手技だけではない。精神看護では、人の精神・社会的な支援の援助技術が身につくと考えるべき」と述べた。



教育講演「心も体も抑制しない看護へのチャレンジ」  

 教育講演では、小藤幹恵氏(金沢大学附属病院看護部・診療従事者(前 副病院長・看護部長))が、自病院で行ってきた患者を抑制しない看護のための取り組みについて講演した。金沢大学附属病院看護部は、2016年2月に一般病棟、精神病院共に身体抑制が0となり、現在でも院内全体で抑制帯の使用などは見られていないという実績をもつ。
 前半では、抑制しないケアを行うための組織体制・風土づくりについて述べ、「『抑制』に対する認識の変化によって実践も変化し、そこで得られた成功体験がまた認識を強化する」と組織全体で認識を変えていくことの重要性を語った。後半では、実際に抑制をはずしてきた事例を豊富に紹介し、抑制のない看護を実践できることを強い説得力をもって示した。

 次回、第50回日本看護学会−精神看護−学術集会は、201911月8〜9日に福井県フェニックスプラザにて開催される予定。


(編集部・塚田)