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第49回 日本看護学会−看護教育−学術集会




両日合わせて3,500名を超える参加者が集まった。
   2018(平成30)年8月16日(木)・17日(金)、広島国際会議場(広島県・広島市)にて第49回日本看護学会−看護教育−学術集会が開催された(学術集会会長・川本ひとみ・広島県看護協会会長)。「未来をつかむ!Chance Challenge Changeで自ら成長する看護職」のテーマのもと、多くの有識者から看護教育・看護管理についての様々な話題が提供された。今回は、シンポジウム「保健師、助産師、看護師の特性を活かしたキャリアラダーと人材育成」(座長・山本雅子・広島大学病院)について報告する。

◆岡山県の保健師のキャリアラダー
 まず、保健師のキャリアラダーについて、山野井尚美氏(岡山県保健福祉部)より岡山県の事例紹介があった。岡山県では1997年に「岡山県保健師人材育成プログラム」を作成。厚生労働省が自治体保健師の標準的なキャリアラダーを公表したのが2016年であることを考えれば、これは先駆的な取り組みといえる。これを皮切りに、2004年には「新任保健師実践プログラム」、2010年には「指導者に育つためのプログラム」を策定、地域の大学と連携しての人材育成プログラムをブラッシュアップするなど数々の取り組みを経て、現在は新人保健師と指導的立場の熟練保健師が共に育つことのできるラダーを構築しているとの報告があった。


◆2つのラダーを活用した聖隷浜松病院の助産師育成法
 次に、助産師の人材育成について森本俊子氏(総合病院聖隷浜松病院)より発表があった。聖隷浜松病院では1996年から助産師外来、2011年から院内助産を開設。2017年12月時点で、産科病棟とMFICU(母体胎児集中治療室)に勤務する助産師76名の28.3%が、助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)レベルVに認証されたアドバンス助産師であるという、非常に手厚い体制を整え、地域に充実した助産ケアを提供している。そのため、院内の産科医が減少していても分娩制限をせずに済んでいるという。
 このように、多くのアドバンス助産師を育成していくためには、助産師自身の継続学習と助産ケアへのモチベーションの維持が大切である。その方策として助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)と院内独自のキャリアラダーを併用しての手厚い教育体制の構築や、権限委譲が大切だと森本氏は語った。権限委譲の一例としては、助産師外来の拡充(現在、聖隷浜松病院では妊娠診断のほとんどを助産師が担当している)が紹介された。


◆ラダーの刷新とラダー評価者への教育改革
 最後に登壇した岡本充子氏(近森会理事)からは、ジェネラリスト育成に重きを置いた近森会グループ看護部クリニカルラダーの紹介があった。これは近森会グループ全体(急性期・回復期・在宅など)で共有するものである。近年このラダーを刷新したが、その際にもっとも注意したのが、ラダー評価者のスタッフへの関わり方の強化だったという。できない自分を責めてしまう傾向にあるラダー未到達者への心のケアこそが、スタッフの能力向上に欠かせないとし、ラダー評価者は「成長には個人差があって当然である」という広い気持ちでスタッフと関わる重要性を共有、実践することが大切だと語った。実際、ラダー未到達者への心のケアを重視した結果、ラダー評価を申請するスタッフが増加傾向にあり、スタッフの継続教育へのモチベーションが高まっているという。

 次回、第50回日本看護学会−看護教育−学術集会は、2019年8月8〜9日に和歌山県民文化会館にて開催される予定。


(編集部・齋藤)