雑誌
『月刊雑誌』2016年6月号
Vol.41 No7 通巻510号
看護展望2016年6月号
心身機能の低下防止のために 病棟でできること
B5判/88頁/定価1,540円(本体1,400円+税10%)
402060
- ●説明
- 特 集
心身機能の低下防止のために病棟でできること
患者がより良い状態で次の療養の場に移行できるために
「 それまで歩けていた人が歩けなくなった」など、入院をきっかけに心身機能の低下が生じるケースも少なくありません。高齢者が入院患者の多くを占めるようになって久しい今日、急性期病院では疾患を治すだけでなく、心身の機能低下を最小限にして、より良い状態で次の療養の場に移すことが重要になっています。
特に一般病棟においても、日常生活援助のかたわら、看護師がその患者に合った機能低下防止のためのかかわりをもつよう努めていくことも効果的であると考えられます。
とはいえ、一般病棟の看護師が多忙ななかで、そういったかかわりのための知識獲得、時間捻出、方針共有などができるかどうかは、病院看護部・病棟としての方針や風土にも左右されるものと思われ、業務全体のバランスのなかで、どう病棟看護の充実を図るかは、難しい采配が問われます。
この特集では、急性期病院の一般病棟における患者の機能低下を防ぐための取り組みの実際をご紹介していただき、どのような効果があるのか、また、看護師が日々の業務のなかで取り組んでいくために、どのような働きかけをしていくのがよいのか、考察していきます。
- ●目次
- Top Management――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
どこにもない看護師を育てるためのどこにもない教育・研修制度――とは
医療法人社団KNI北原国際病院 看護科マネージャー
舟久保直美氏に聞く
特 集――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
心身機能の低下防止のために病棟でできること
患者がより良い状態で次の療養の場に移行できるために
これからの急性期病棟の看護師に求められるフレイル評価と多職種連携
/宇都宮明美
口腔ケア
日常的口腔ケアの充実を図る口腔ケアシステムの構築
/宮ア留美子・中野八重美
急性期リハビリテーション@
食べる喜びを分かち合うための看護師による摂食機能療法の実際
/太田奈津江
急性期リハビリテーションA
患者の早期離床を目指した病棟看護師が行う急性期リハビリ
/久保木純子
呼吸ケア
退院後の生活を見据えた一般病棟における呼吸ケア
/佐藤里美・熊谷宏子
この人に聞く
【調布東山病院座談会】
『急性期リハビリテーション』定着のカギと看護師に起こった変化
/小川聡子・大熊るり・竹内裕美
管 理―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
コンピテンシーを深く理解し看護管理に活かすための
東大病院・医科研病院式グループワーク実践講座E
PART1/患者のより良い療養選択支援のために発揮された[達成志向]
PART2/患者の不満の裏に隠されたニーズをつかんだ[顧客志向]
/宇野光子・小見山智恵子・武村雪絵
PNSの実践からみる運用を成功させるためのコツE
コミュニケーション能力を高め職場を活性化させるPNSの取り組み
/下地孝子
働きやすさを実現する労務トラブル対応マニュアルE
試用期間に関する労務トラブル対応
/加藤明子
臨床と教育の連携――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
考える看護師の育成を目指した臨床と教育のつながりの形を探るE
ユニフィケーションでみえてきた教育との連携による効果
/伊藤まさ江・石田洋子・菅沼ふじ子・中村康子
教育―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
組織で活きる社会人基礎力の育成D
「チームで働く力(チームワーク)」を身につけさせる教育方法A
/箕浦とき子
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行政の動き
熊本地震が発生、死傷・被害の拡大から激甚災害に指定
直下型地震の対応に混乱、「前震」の後に「本震」発生 遅れる心身のケア、
エコノミークラス症候群で死亡も
/水巻中正
Topics
『平成26年度 ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人に関する分析結果』を公表
/末期がん、在宅でも寿命はほぼ同じ/熊本地震で「災害支援ナース」を派遣
/渡辺美佐緒
こころをみつめる Book Guide ●Vol.102
井上章一著『京都ぎらい』
/皆藤 章
- ●その他
- 2016年7月号――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
特集:
急性期病院における「認知症ケア」のためのスペシャリストの活用
急性期病院では、第一の目的である「病気を治す」ということに専念するあまり、それ以外のことに目が行き届かず、入院中にADLが低下するケース、認知症が悪化するケースが少なくないとしばしば指摘されます。逆に急性期病院の看護師の側からみると、認知症のある患者のケアについての知識や経験があまりないことから、苦手意識をもち、ケアに困難を感じている場合が多いと言われます。
急性期病院でも適切な認知症ケアを提供することが非常に重要ではありますが、それには個々の看護師が自ら知識をもって適切なケアができるようになることを期待するよりも、認知症のスペシャリストが看護師のケアを引き上げる体制をつくるほうが効果的とされています。このようなスペシャリストの配置が効果を生んでいることが、2016(平成28)年度の診療報酬改定での認知症ケア加算の新設につながったと考えられます。また、2012年の公益社団法人日本看護協会の「病院における看護職員需給状況調査」によると、看護管理者が「今後、最も配置したい(または配置を増やしたい)認定看護師」は認知症看護認定看護師であるという結果が出ており、スペシャリストの活躍が期待されていることがうかがえます。
本誌2014年5月号においては、「認知症ケアを組織で考える時代へ;急性期病院に求められる意識改革」を特集しましたが、今回はそのような組織的対応において最大のカギとなる人的リソースに焦点をあて、認知症ケアのスペシャリストの役割、育成、配置、業務内容、さらには多職種による認知症ケアチームの活動の実際をみていきます。